影響力の科学 P.636より
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農業の生産性を研究したリンゲルマンは、
作業員を増やしても結果は期待したほど
上がらないことを発見した。
ある実験では、1人ないし集団で
荷車を全力で引くように指示した。
その結果は奇妙なものだった。
一緒に作業する人の数が多くなるほど、
1人が引く力は平均して減っていったのだ。
2人のチームでは、各人が平均で
1人で作業するときの93%の生産性だった。
4人のチームでは、各人が平均で1人で
作業するときのわずか77%の生産性だった。
そして8人のチームでは、
わずかに49%の生産性しかなかった。
リンゲルマンは、この生産性の低下について、
同時に多くの人が共同作業をするための
調整の難しさが原因の一部だと考えた。
ところが、その後の研究によって、
調整の難しさは集団による生産性低下の
理由の1つでしかないことがわかった。
最も明確な理由は、
リンゲルマン自身が疑っていたことだが、
集団の個々のメンバー が
社会的手抜きをするからである。
つまり、集団が大きくなるにつれて、
個人は力を抜くのである。(中略)
個人の貢献度が評価されないと、
集団のメンバーがサボる可能性が高くなる。
これは各メンバーの貢献度が
特定できない場合、つまり自分も他者も
誰の貢献かわからない場合に起こる事態だ。
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こうした何人かのチーム作業で
個々の成果が不明確な場合、
人は楽をしようとする傾向があります。
人間、誰しも必要以上に
労力を使いたくはありませんから、
悪気はなくても
多くの人は自分以外のメンバーの
努力にタダ乗りしようとするのです。
もちろん、これには個人差があるので
頑張る人もいれば頑張らない人もいます。
ただ、このようにデータで見てみると
どれだけチームで頑張ろうとしても
一人当たりのパフォーマンスが
下がってしまうのは明らかです。
とは言え、一人でできる事には
限界があるので大きな事を達成するには
チームの力が必要不可欠でもあります。
ですので、組織を使って成果を出す人は
人は楽をしたがるというのを念頭に
しっかりと個人を評価する仕組みを
作ったほうがいいかもしれませんね。
■ 影響力の科学
ロバート・チャルディーニほか
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